インターネットが登場して以来、私たちの生活は一変しました。
今こうしてこのブログを読めるのもインターネットのお陰ですし、ECやサイトM&Aが行えるのも全てインターネットあってのことです。今回は、そのインターネットが持っていた大切な本質である「匿名性」が失われ、ECはどう変化していくかというお話です。
「匿名性」がインターネットの発展を後押しした
インターネットは、コンピュータ同士が「会話」するという姿を想定した研究から生まれました。強力な計算機でありデータ貯蔵庫であるコンピュータ同士がコミュニケーションできるようになったことで、世界中の人々が繋がれるようになりました。
インターネットが発展していく過程で、「匿名性」という性質が大きな役割を果たしました。インターネットはとても便利なものでしたが、それと同時に得体の知れない怪しいものでもありました。そんな世界に飛び込んでいく時、自分の名前など個人情報をオープンにしなければならなかったら、多くの人が身を引いてしまったことでしょう。成功の典型例が、2ちゃんねるやニコニコ動画です。見ず知らずの人々が匿名性の名の下集まり、コミュニケーションを取ることができたからこそ、今日誰もが知るようなサービスになったのです。
「匿名性」の喪失
誰もがインターネットを使うようになっていく中で、同時進行的に実は着々と匿名性が薄まっていきました。1つは、Cookieの登場です。ウェブブラウザでネットサーフィングをしていくうちに、その人がいつそのサイトを訪れていて今回が何回目なのかというデータを保存していく機能のことです。Cookieのおかげで毎回毎回ログインIDやパスワードを入力せずに済んでおり、Cookieは個人のサイト閲覧の動向を知る情報として活用されています。
そして、TwitterやFacebookをはじめとする近年のSNSが、匿名性の喪失を決定づけます。Facebookはその最たるもので、個人の氏名をインターネット世界にオープンにすることではじめて使用できます。今までは考えられなかったものなのですが、ご存知の通りFacebookは世界中で何億人もの人が使うサービスとなっています。
Facebookアカウントを使えば会員登録なしでECショッピングができるサイトも増えてきており、匿名性の希薄化という傾向が、ユーザーにもたらすメリットも強まってきています。
「匿名性」の喪失でECはどう変わるか?
ECサイトを運営する上では、お客様へのお届け先として氏名や住所の情報が必要不可欠です。メールマガジンを配信して会員を集めるのも、同じく個人情報を集めるためでした。そこにSNSが参加してきたことで、ユーザーもECサイト側も情報のやりとりが容易になり、情報の開示とインターネットサービスの恩恵の関係はますます深くなっています。
2013年に入り、GoogleがSuper Cookieと呼ばれる新たなCookieを運用開始しました。今までのCookieの機能に加え、ECでの購入履歴などを保存対象とすることで、「その人が本当に必要としている商品」をレコメンドしたりするなど、さらにユーザーに便利な使い方が検討されています。
このように、ECなどはユーザーが「本当に」関心のあるものをますますレコメンドできるようになり、EC運営者とユーザーを結びつきは強くなっていくでしょう。今までインターネットは「みんなのもの」というイメージが強かったのですが、このような傾向が続けば、「あなただけのインターネット」という世界に変化していくのではないでしょうか。
参考:
Majority of Americans View Online Anonymity as a Lost Cause
http://mashable.com/2013/09/05/privacy-americans-pew-poll/
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