口頭の成約に至りつつも、いくつかの点が詰め切れていないため、その後の交渉が長引いてしまうといったケースが、見られることがあります。
細かな条件は、最終的には契約書にまとめていきますが、譲渡交渉中から、以下の点をきちんと詰めておくと、後々の手続きが円滑に進むでしょう。
消費税について
・サイトキャッチャーでの表示は、税込になっておりますが、念のため税込・税抜きの話も事前に詰めておいてください。
・移行作業手数料や、譲渡後のサポート契約が発生する場合、その部分の額も話し合っておきましょう。
譲渡予定日
・様々な手続きに、最低でも2週間から1カ月くらいかかると見た方が無難です。
・譲渡日の定義は、引き渡しが完了し、10日ほどの検収作業まで済んだ日とすることが多いです。譲渡日を境に発生した債権債務の帰属が変わることがほとんどですので、この点もご注意ください。
サイトの運営データの確認
サイトキャッチャー上に掲載しているアクセス数や売上といった事業に関するデータは、基本的には自己申告のデータであり、必ずしも最新のデータではありません。そのため、サイトキャッチャーでは情報の真実性について、保証致しかねます。
よって、譲渡交渉中に、アクセス数や売上等に関して、最新情報を確認しておく必要があります。
その際、万が一の「言った言わない」トラブルを防ぐため、お互いに何らかの証拠が残る形で確認しておくとよいでしょう。
これらの情報は、お互いに内容を確認した重要書類として、譲渡契約書に添付することもあります。
譲渡対象物
特に売り手様側に言えることですが、譲渡対象になるデータや権利について、予めきちんと考えておく必要があります。
相手があることですので、対象物の譲渡の可否はひとまず置いて、運営に必要なものや権利については、予めリストアップしておきましょう。
典型的なパターンをいくつか列挙しておきます。
- 全サイト共通
- コンテンツ
- ドメイン
- サーバレンタル契約
- その他運用に必要なサービスの利用権
- EC(ネットショップ)
- アフィリエイトサイト
- ※アフィリエイトのアカウントは、ほとんどの場合は譲渡せず、新規に取得し直します。そのため、アフィリエイト報酬が確定するまでの間(1~2ヵ月)、一時的に売上が0円になります。
各譲渡対象物の譲渡方法・作業分担
売り手様が事前に調べておく必要があります。
各サービスの規約やサービス内容によっては、譲渡が禁じられている場合があります。
その場合、運営者に事業譲渡に伴う権利移転であることを説明すれば、別の方法を教えてもらえることもあります。
競業禁止
売却したサイトと同じ内容のサイトの運営を禁じる規定です。
売り手様は、同様サイトを運営している場合は、事前に買い手に伝えておいた方がよいでしょう。
どこまでを「同じ内容」「競業」と認定するかどうかは、ケースバイケースです。
たとえば、同じジャンルのアフィリエイトサイトを多数運営しているというケースはよくありますが、同ジャンルのサイトの運営を禁じられると、売り手にとっては大打撃です。
こういった場合、運営中のサイトや新規に作成するサイトが、譲渡するサイトのコピーに当たるサイトでない、というレベルまで「競業」の範囲を限定することがよくあります。
譲渡時・譲渡後の特記事項
引き継ぎや譲渡後のサポートや、譲渡中の売り上げの帰属について規定することがよくあります。
以下、運営が難しくない案件において約束される典型的な内容を例示いたします。
・譲渡後のサポートは特に無し。引き継ぎ期間(1週間~1か月)ほどで完了させる。
・譲渡日以降の売り上げと費用は、買い手側に帰属する